本記事では一般的なIPA(イソプロピルアルコール、イソプロパノール)の廃棄方法について記載していきます。
IPAは一般ゴミとして捨てたり、下水に流してはいけません。
どのように適切に廃棄するのかを順を追って説明します。
目次
②レジン(樹脂)が溶け込んだIPAを廃棄する場合
③油脂、ほこりなどが混ざったIPAを廃棄する場合
IPA(イソプロピルアルコール)の廃棄費用
目次
IPA(イソプロピルアルコール)とその用途
IPA(イソプロピルアルコール)の廃棄方法
①余ったIPAを廃棄する場合
IPAを廃棄するためには?
②レジン(樹脂)が溶け込んだIPAを廃棄する場合
③油脂、ほこりなどが混ざったIPAを廃棄する場合
IPA(イソプロピルアルコール)の廃棄費用
IPA(イソプロピルアルコール)とその用途
IPAはイソプロピルアルコールの略で、イソプロパノールとも呼ばれるアルコール系溶剤の一種です。
IPAは以下のように様々な用途で使用されています。
●IPAの用途 一例
・塗料、インキの溶剤
・金属、プラスチック部品の洗浄
・光造形3Dプリンタの造形物洗浄
・ガソリンタンクの水抜き剤
・水遅乾剤
・鋳造用塗型剤の溶剤
・電子基板の洗浄(フラックス洗浄)
・皮脂、軽い油分の脱脂洗浄
・静電気除去剤
・身の回りの除菌
用途にもよりますが、特にIPAに部品等を浸漬して洗浄する場合には廃液が出ます。
上記の用途例でいうと、金属・プラスチック部品の洗浄、光造形3Dプリンタ造形物の洗浄などが当たります。
洗浄するものに付着しているものによりIPA廃液に混ざるものが変わるため、廃棄方法も変わる場合があります。
以下は、洗浄後の廃液に混ざる汚れごとにどのような分類になるかの考え方を記載します。
ただし、廃液の状態や産業廃棄物業者の判断により変わる場合がありますので、あくまで参考としてください。
IPA(イソプロピルアルコール)の廃棄方法
①余ったIPAを廃棄する場合
IPAが余ってしまった場合、よくお問い合わせ頂く処理方法として以下が挙げられます。
・IPAを水道(下水)に流してもよいか?
・屋外にIPAを置いておき、蒸気として乾燥させてしまってよいか?
・IPAをペーパー類に染み込ませて、燃えるゴミとして捨ててよいか?
しかし、これらの行為は産業廃棄物処理法に違反となりますので、やってはいけません。
一般家庭から出る場合であれば、企業ではないので産業廃棄物処理法は関係ない、と考えている方もいるのではないかと思いますが、一般市民にも適用されます。
廃棄物処理法第16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と規定されており、これを破ることはいわゆる不法投棄に当たります。
下水に流す場合は水質汚濁防止法、大気に放出する場合は大気汚染防止法に該当する場合もあり、いずれにせよ上記のような処理方法で廃棄しないようにしてください。
IPAを廃棄するためには?
余ったIPAを廃棄する場合、産業廃棄物として廃棄することが適切です。
産業廃棄物は収集運搬許可を得た業者が回収し、専用の処理施設で廃棄されます。
IPAは引火性の高い液体ですので、大抵は特別管理産業廃棄物の引火性廃油という区分に当たります。(※産業廃棄物の業者、廃液の状態によって判断が変わりますので、必ず確認をしてください。)
ちなみに産業廃棄物には、一般産業廃棄物と特別管理産業廃棄物の2種類に分かれ、特別管理産業廃棄物の方が危険性、有害性の高い廃棄物を処理するため、処理費がかかります。
②レジン(樹脂)が溶け込んだIPAを廃棄する場合
近年は光造形3Dプリンタの普及により、一般の方でも洗浄用途としてIPAを使用することが増えています。
例えば、3Dプリンタの造形物を洗浄したIPAの場合、IPA内にレジンが溶け込みます。
このレジンの含有量によって、産業廃棄物の判断が分かれる可能性があります。
1.見た目がサラサラとしており、粘度がない場合
廃液の見た目が液状でさらさらしており、IPAの純度が高い場合は、IPAに近い引火性の高いものという判断になります。
この場合は、特別管理産業廃棄物の引火性廃油に分類されることが多いです。
2.見た目がドロドロしており、粘度が高い場合
廃液の見た目がドロドロとしており、液体というには粘度がありすぎる場合には判断が分かれます。
樹脂の含有が多かったり、あまりにも液体とかけ離れている場合は一般産業廃棄物の汚泥と判断されることがあります。
IPAの引火性の高さは変わりませんので、ドロドロしたものを特別管理産業廃棄物の引火性廃油と判断することもあります。
また、指定有害物は含まれていないものの一般産業廃棄物として処理するには引火点が低いため、特別管理産業廃棄物の汚泥になる可能性もあります。
産業廃棄物業者や廃棄物の状態によっては上記以外の判断になることもありますので、必ず廃棄を依頼する業者に確認して貰うようにしてください。
③油脂、ほこりなどが混ざったIPAを廃棄する場合
IPAは精密洗浄、仕上げ洗浄に使用されることがあり、金属部品、樹脂製品、ガラスやレンズ、基盤洗浄などを洗浄するために使用されます。
金属部品、樹脂製品、ガラス・レンズであれば皮脂やほこり等の付着、基盤であればフラックスが付着しており、これらを洗浄するために浸漬、ふき取り、超音波洗浄などが活用されます。
この場合、そこまでIPAを洗浄液として酷使して、IPA自体が汚れすぎることはないので、ほとんどIPAと同じようなものであると考えることができ、特別管理産業廃棄物の引火性廃油として処分されることが多いと考えられます。
IPA(イソプロピルアルコール)の廃棄費用
IPAを廃棄する場合、多くは特別管理産業廃棄物の引火性廃油で廃棄される可能性が高いですが、その費用がどれくらいかかるのか見ていきます。
一般的に産業廃棄物を廃棄する場合、以下の項目に費用が発生します。
・産業廃棄物 収集・運搬費用
・産業廃棄物 処理費用
・書類諸経費 ※上記の2つに含まれる場合が多い。
①産業廃棄物 収集・運搬費用
産業廃棄物の収集・運搬費用とは、簡単に言うと運送費(運賃)です。
産業廃棄物を回収して、中間処理場や処分場に運ぶために専用の車を動かしているわけですから、一般的な運送便の費用感とは全く違います。
「自社の廃棄物を処理するためのチャーター便(専用便)」と考えると、その費用感も考えやすくなります。
距離や運搬する廃棄物の種類、産業廃棄物業者の事業所所在地・営業地域など様々な要因によって収集・運搬費用は変わりますが、収集・運搬費用は30,000~50,000円ほどです。
遠方の収集運搬業者に頼んだ場合、事業所付近に産業廃棄物業者がない場合、最終処分場が遠方の場合は、50,000円以上の収集・運搬費用になることもあります。
あくまで一般的な費用としてお考え下さい。
この収集・運搬費用は引き取り1回あたりの発生費用ですので、ドラム缶が数ドラムもある場合、一斗缶が1缶しかない場合、500mL~1Lのサイズの廃棄物が少量しかない場合も掛かる費用は同じです。
そのため、少量廃棄を考えている方の多くは収集運搬費用の高さに驚かれることがあります。
一般運送便のように誰でもできるわけではなく、産業廃棄物収集運搬の許可を持った業者が、処理・一時保管できる専用の場所に持っていくための費用なので、一般運送便のように安いものではないことを留意する必要があります。
②産業廃棄物 処理費用
産業廃棄物の処理費用とは、文字通り廃棄物を処理するための処理費用です。
産業廃棄物は収集運搬業者と最終処分業者が違うことが多く、廃棄物の最終処分場での処理費用ということになります。
大抵は収集運搬業者に産業廃棄物の廃棄依頼をしても、見積書内に収集運搬費用と処理費用が掛かれていますので、わざわざ産廃処理だけを別の業者にお願いする必要はありません。
その点、収集運搬業者が間に入ることになりますので、中間マージンを含んだ処理費になっています。
処理費用の単位は、通常は容器単位(ドラム当たり、一斗缶あたりなど)の設定やkg単価で処分費が設定されています。
処分費用自体は産業廃棄物の種類や処分業者によっても様々な設定がありますが、今回のIPAの処分費の場合、1ドラム当たり15,000~20,000円ぐらいかと思います。
廃液の入った容器が小さいほど割高になりますし、ドラム当たり15,000~20,000円という金額も参考程度ですので、20,000円以上の金額が付くことは容易にあり得ます。
③書類諸経費
書類諸経費は通常、収集運搬費用や処分費の利益として加味されていることが多く、見積書に項目が掛かれていることは少ないです。
しかし、産業廃棄物は収集運搬をする際にマニフェストという書類を取り交わさなかければならないため、業者によっては書類諸経費として請求があります。
再生するという第二の手段
有機溶剤の廃液は、必ず産業廃棄物として廃棄しているわけではありません。
純度の高いもの、再生した溶剤の需要が高いものは、蒸留再生されます。
蒸留再生の場合、原料(廃液)は産業廃棄物として引き取られるのではなく、有価物として買い取られます。
弊社の3D MedSupo(3Dメドサポ)は3Dプリンタ業界を対象にしたサービスで、洗浄液の提供だけでなく、使用済み液を蒸留再生用の原料として回収するサービスです。
光造形3Dプリンタの洗浄は、洗浄液を限界まで汚して使用するケースが少なく、アルコールが高濃度残っているため蒸留再生が可能です。
ユーザーの「廃液処理に困っている」とメーカーとしての「再生原料として回収したい」という思いをマッチングした新しいサービスです。
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