痩せるホルモンと言われるGLP-1。
GLP-1と同じ働きを持つ糖尿病治療薬がダイエット薬として注目されています。ダイエットの仕組みや効果、特徴、危険性などを紹介します。
目次
GLP-1とは?
GLP-1とは、私たちの体内にあるホルモンで、食後に血糖値(血液中のブドウ糖の量)が上がると小腸から分泌され、すい臓にインスリンの分泌を促します。
インスリンが分泌されると血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギーとして消費されたり、脂肪細胞に脂肪として取り込まれたりします。
糖尿病とは?
糖尿病とは、インスリンが膵臓から分泌されなくなったり(1型糖尿病)、分泌量が少なくなったり、分泌されてもうまく働かなくなったり(2型糖尿病)して、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。
血糖値が高いままだと、重度の糖尿病になり、血管などが傷つき最悪の場合、足の切断の他、失明、心臓病など死につながります。
糖尿病が進行すると、患者の血液中の過剰な糖分が尿の中に排出されます。これが糖尿病の名前の由来になっており、糖尿病の検査の一つである尿糖検査で、尿の中の糖分を検査できます。
GLP-1受容体作動薬の働き
糖尿病治療のために、GLP-1の作用を使って、インスリンをすい臓から分泌させ血糖値を下げようというのがGLP-1受容体作動薬の仕組みです。
GLP-1受容体作動薬は、分解されるのが早いというGLP-1の欠点を改良し、分解されにくくし効果が長く持続するようにしたものです。
日本人はインスリンを分泌させる能力が低いとされていますが、GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促進させ、低血糖をほとんど起こさずに優れた血糖改善効果を示すため、日本人の2型糖尿病のある方に適した薬剤として期待されています。
日本でもGLP-1受容体作動薬は糖尿病の治療薬として承認されています。
インスリンの分泌を促す薬のため、インスリン分泌能力がほとんどない1型糖尿病の方には使えません。
多くのGLP-1受容体作動薬は糖尿病治療に用いられますが、ダイエット効果があるためウゴービのように肥満症の治療に使われているものもあります。
GLP-1受容体作動薬のダイエット効果の特徴
GLP-1受容体作動薬にはインスリンの分泌促進作用のほかに、以下のようなさまざまな効果があるためダイエットに効果があるとして注目されています。
過剰な食欲を抑える
食後、食べ物が消化され血糖値が高くなると、満腹中枢が働き満腹だと感じます。
GLP-1は、この満腹中枢に直接働きかけることで過剰な食欲を抑えて食べ過ぎを防ぎます。
食欲そのものが減少するので、食べることを我慢する必要がほとんどなくなり、ストレスなく自然に痩せられます。
満腹感を持続させる
食べ物は胃で消化されると、小腸へ少しずつ送られます。
GLP-1は、食べ物が小腸へ送られるスピードを遅くして、食べ物が胃に入っている時間を延ばします。
これにより、同じ量のものを食べても、食べ物が胃にある時間が長くなり満腹感が長く継続します。
基礎代謝を良くする
GLP-1は、脂肪細胞に働きかけ、熱を生み出すことを助け基礎代謝を上げ、脂肪を分解しやすくします。
これにより太りにくい体質になるため、リバウンドしにくくなります。
GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の違い
GLP-1受容体作動薬と同様に、ダイエット効果もあるとして注目されている糖尿病治療薬にSGLT2阻害薬があります。
SGLT2阻害薬は、血中の余分な糖分を尿を通じて排泄し、血糖値を下げる医薬品です。
血液中のブドウ糖は、腎臓で血液から原尿(尿のもととなる液)の中に出た後、SGLT2の働きで、尿細管で再び血液中に取り込まれます。
SGLT2阻害薬は、このSGLT2の働きを妨げ尿の中に糖分を出し、そのまま排泄しすることで血糖値を下げます。
このため、SGLT2阻害薬は、インスリンの働きに頼ることなく血糖値を下げられる点が大きく異なります。このためインスリンが効きにくいインスリン抵抗性がある方でも使うことができます。
一方で、SGLT2阻害薬には、GLP-1受容体作動薬とは異なり、食欲を抑える効果は認められていません。
医薬品の種類 | 作用 | 副作用 |
GLP-1受容体作動薬 | 血糖値を下げるインスリンの分泌を促進したり、食欲を抑えたりする | まれに急性膵炎、下痢、腹痛、食欲減退、悪心・嘔吐、嘔吐を伴う激しい腹痛 |
SGLT2阻害薬 | 腎臓にあるSGLT2というタンパク質を阻害して、余分な糖を尿と一緒に排出する | まれに脱水症状、頻尿、膀胱炎などの尿路感染症、性器感染症、口渇、便秘、血圧低下、腎機能障害、ケトアシドーシス |
GLP-1受容体作動薬の副作用のリスクや注意事項
GLP-1受容体作動薬の副作用としては、低血糖による冷や汗、震え、動悸、吐き気。下痢や便秘、胸やけなどの胃腸症状。嘔吐を伴う激しい腹痛、背中の痛み、膵炎などの症状が報告されています。
これらの症状が現れた場合は無理に服用し続けることなく、服用をやめ、医師薬剤師に相談してください。
GLP-1受容体作動薬の一覧と保険適用
GLP-1受容体作動薬には、飲みやすい錠剤タイプと、注射タイプの2種類があります。
注射タイプは、ビクトーザ、ウゴービなどがあります。
錠剤タイプも注射タイプも、ダイエット目的での使用は未承認で、保険適用外となり、全額自己負担の自費診療となります。
形状 | 投与回数 | |
リベルサス | 錠剤 | 1日1回 |
ビクトーザ、オゼンピック、ウゴービ、バイエッタ、リキスミア、トルリシティ | 注射 | 週1回~1日2回 |
主な注射タイプのものは以下の通りです。
ビクトーザ
ビクトーザも、ノボノルディスクの商標で、2型糖尿病治療薬です。有効成分は、GLP-1受容体作動薬のリラグルチドで、注射で1日、1回の投与が必要です。
オゼンピック
オゼンピックも、ノボノルディスクの商標で、2型糖尿病治療薬です。
有効成分は、GLP-1受容体作動薬のセマグルチドで、注射で1週間に1回の投与が必要です。
ウゴービ
ウゴービも、ノボノルディスクの商標ですが、こちらは肥満症治療薬です。
有効成分はオゼンピックと同じくセマグルチドで、注射で1週間に1回の投与が必要です。
保険適用となるのは高血圧、脂質異常症、または2型糖尿病のいずれかを有する肥満症があり、食事制限療法と運動療法を行っても十分な効果が得られない人のうち、BMIが35 kg/m2以上、もしくは以下の示す肥満に関連する健康障害を2つ以上有する BMIが27 kg/m2以上がのみで、単なるダイエットは対象外となります。
耐糖能障害 (2型糖尿病、耐糖能異常)、脂質異常症(高脂血症)、高血圧症、高尿酸血症(痛風も含む)、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)脳梗塞または一過性脳虚血発作、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、月経異常または女性不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、運動器疾患、肥満関連腎臓病
参考:身長と体重のBMI早見表
※BMI 27 kg/m2を黄色、BMI 35 kg/m2を赤色で塗りつぶしています。
体重╲身長 | 145cm | 150cm | 155cm | 160cm | 165cm | 170cm | 175cm | 180cm |
55kg | 26.16 | 24.44 | 22.89 | 21.48 | 20.20 | 19.03 | 17.96 | 16.98 |
60kg | 28.54 | 26.67 | 24.97 | 23.44 | 22.04 | 20.76 | 19.59 | 18.52 |
65kg | 30.92 | 28.89 | 27.06 | 25.39 | 23.88 | 22.49 | 21.22 | 20.06 |
70kg | 33.29 | 31.11 | 29.14 | 27.34 | 25.71 | 24.22 | 22.86 | 21.6 |
75kg | 35.67 | 33.33 | 31.22 | 29.3 | 27.55 | 25.95 | 24.49 | 23.15 |
80kg | 38.05 | 35.56 | 33.3 | 31.25 | 29.38 | 27.68 | 26.12 | 24.69 |
85kg | 40.43 | 37.78 | 35.38 | 33.20 | 31.22 | 29.41 | 27.76 | 26.23 |
90kg | 42.81 | 40.00 | 37.46 | 35.16 | 33.06 | 31.14 | 29.39 | 27.78 |
95kg | 45.18 | 42.22 | 39.54 | 37.11 | 34.89 | 32.87 | 31.02 | 29.32 |
100kg | 47.56 | 44.44 | 41.62 | 39.06 | 36.73 | 34.6 | 32.65 | 30.86 |
バイエッタ
バイエッタは、イギリスの製薬メーカーであるアストラゼネカの商標で、2型糖尿病治療薬です。
有効成分は、GLP-1受容体作動薬のエキセナチドで、注射で1日2回の投与が必要です。
リキスミア
リキスミアは、フランスの製薬メーカーであるサノフィの商標で、2型糖尿病治療薬です。
有効成分は、GLP-1受容体作動薬のリキシセナチドです。
注射で1日1回の投与が必要です。
トルリシティ
トルリシティは、アメリカの製薬メーカーであるイーライリリーの商標で、2型糖尿病治療薬です。
有効成分は、GLP-1受容体作動薬のデュラグルチドです。
注射で1週間に1回の投与が必要です。
GLP-1ダイエットブームと薬不足
解説したように、高いダイエット効果があるGLP-1受容体作動薬。
インターネットやテレビなどでその効果が宣伝されたことで、GLP-1受容体作動薬を服用することが、GLP-1ダイエット方法の一つとして知られるようになり使う人が増えました。それによりGLP-1受容体作動薬は慢性的な薬不足の状態が続いています。
参考リンク:
GLP-1受容体作動薬の個人輸入に注意
海外から個人でGLP-1受容体作動薬を輸入することは、成分の安全性に問題があるものもあり、健康悪影響が出る可能性あるため、やめましょう。国内の病院やクリニックなど医療機関で処方してもらい、医師薬剤師の指導を守って適切に使いましょう。
GLP-1についてよくある質問
GLP-1についてよくある質問とその回答の一覧は以下の通りです。
Q:GLP-1受容体作動薬を使っても痩せません、なぜですか?
A:薬を使用して食事を減らすだけでは痩せることは難しいです。適度な有酸素運動をしましょう。そのため栄養バランスを考えた食事を取り入れるなど生活習慣を見直して減量を目指しましょう。
Q:GLP-1受容体作動薬を飲んでも痩せません。飲む量を増やすことは避けた方がいいですか?
A:勝手に服用する量を増やしてはいけません。用法用量を守り、適切に服用しましょう。
Q:GLP-1受容体作動薬は妊娠中や授乳中でも使えますか?
A:使えません。妊娠が判明した場合は医師に相談してください。
Q:GLP-1受容体作動薬をダイエット目的で処方してもらいたいが健康保険は適用されますか?
A:原則として全額自己負担の自由診療となります。
Q:GLP-1ダイエットはリバウンドしやすいですか?
A:GLP-1ダイエットは太りにくい体質をつくるため、リバウンドしにくいです。
Q:GLP-1受容体作動薬とメトホルミンはどう違うの?
A:いずれも糖尿病治療薬で血糖値を下げる作用がありダイエット効果が期待できますが、仕組みが異なります。メトホルミンは肝臓で糖が作られることを抑え、筋肉での糖分の消費を促進します。また過剰な食欲を抑える、満腹感を持続させる、便の中に糖分を排出する、筋肉量を増やすなどの効果も期待できます。
Q:GLP-1受容体作動薬の使用開始からどれくらいで減量の効果がでますか?
A:個人差はありますが、服用し始めてから2~3ヶ月で効果を実感される方が多いです。効果が出ないと感じても数か月してゆっくり痩せることもありますので、自己判断で服用を中止せず、医師薬剤師の判断を仰ぎましょう。
Q:GLP-1受容体作動薬を個人輸入しても安全性に問題はありませんか?
A:GLP-1受容体作動薬に限らず、費用が安いからといって医薬品を海外から個人輸入して使うことは、品質が不明確で、健康被害の恐れもあるため、やめましょう。国内のクリニックなど医療機関で処方してもらい、医師薬剤師の指導のもとで服用しましょう。
Q:GLP-1受容体作動薬を使ったサプリはありますか?
A:サプリはありません。医師の処方箋が必要な医療用の医薬品です。
Q:GLP-1受容体作動薬を使っている時にアルコールを飲んでもいいですか?
A:お酒は避けましょう。
Q:GLP-1受容体作動薬を使えばカロリーは制限しなくても良いですか?
A:摂取カロリーが多すぎれば太りますのでカロリー制限は必要です。ウォーキングなどの適度な運動を取り入れるとより効果的です。
リベルサスの入手方法
リベルサスはGLP-1受容体作動薬の中で唯一の錠剤タイプで摂取しやすいお薬ですが、処方箋医薬品です。医療機関で診察を受け、医師から処方箋をもらわないと購入できません。
また、リベルサスの有効成分セマグルチドを含むジェネリック医薬品も、市販薬もありません。
しかし忙しく、病院に行き薬局でリベルサスを買う時間が確保できない方も多いと思います。そんな方にオススメなのが、弊社のMedDirect(メドダイレクト)です。
予約から診察、処方、お届けまで全てオンラインで完結し、時間や場所を気にせず、いつでもどこでも気軽に購入することができます。
※美容目的の処方のため保険適用外の自由診療となりますが、MedDirect(メドダイレクト)は初診料、再診料、処方料が無料で、お薬代と配送の料金のみのご負担でリーズナブルにご利用いただけます。
GLP-1ダイエットのまとめ
・GLP-1とは、膵臓にインスリンの分泌を促すホルモン。インスリンの働きで血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれたり、脂肪細胞に脂肪として取り込まれる。
・GLP-1には、過剰な食欲を抑えたり、満腹感を持続させる、基礎代謝を良くするなどのダイエット効果もある。
・GLP-1ダイエットでは、GLP-1に似た働きをする糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬を使って痩せる
・GLP-1受容体作動薬は、購入には処方箋医薬品のため医師の診察を受け処方箋を受ける必要がある。
・副作用として、低血糖による冷や汗、動悸、下痢、便秘など胃腸症状、膵炎、頭痛、腹痛などが報告されている。
・忙しくて通院できない方には、メドダイレクトがおすすめ
Comments